近年稀に見る傑作

何がって、『リア●鬼ごっこ』ですよ！
やべ、想像以上に面白い！！
まだ最初の方（鬼ごっこが始まる前）までしか読んでないけど。
これ、一応「サスペンスホラー」という枠に入れられるようですが、
マジ読んでて震えが止まらない！（そりゃもう１P目から）

それにしても弱冠二十歳でこんな文章書くなんて、ホントすごいなぁ。
設定も、とても二十歳で考えたとは思えない。少なくとも私にはムリ。
何で、当時この小説読んでなかったんだろ。もったいなさすぎる。
（元々あまり小説には興味ないとはいえ…）

あ、でも、以下の人は読まない方がヨロシ。
・子供（中学生くらいまでの子には正直お薦めできない）
・心臓の弱い人
・血圧の高い人
・文章書きの人

文章書きの人はね、ホントお薦めしない。
止めた方がいい。自信なくしちゃうかも。
でもしょうがないよ。あんな文章書ける人が他にいるワケない。
そう割り切れる人なら大丈夫かも。

＜あらすじ＞
時は西暦３０００年。あらゆる技術が発達していた王国では、二十人に一人が"佐藤"という姓を持っていた。ある日国王は、自分と同じ名字を持つ人間が５００万人もいることに不満を持つ。どうにかして、自分以外の"佐藤"を減らせないかと思案した国王は、ある計画を思いつく。
それが「リアル鬼ごっこ」――…。
毎日２３時から２４時の間が「リアル鬼ごっこ」の時間。
この一時間、全国の"佐藤"さんは約１００万人の「鬼」から逃げつづけなければならない。
つかまれば「死」。
ただし、一週間逃げ切れば褒美を与える。
このめちゃくちゃな計画に、側近達はもちろん反対した。
しかし、３０００年１５０代の歴代国王の中でも稀代の「馬鹿王」はこの計画を実行に移すのだった。
主人公佐藤翼は、この恐ろしい一週間を生き抜けるのか―――…


どうですか、この設定。
（ちなみに↑は引用ではなく私が書いた。センスなくてゴメン）
二十歳が考えつくものとはとても思えないでしょう？！
ちなみにこの王国、「医学技術や科学技術、そして、機械技術の全てが今とは全く想像のつかないほど発達し」（原文ママ）てるんですが、その一つが「佐藤探知機ゴーグル」（原文ママ）
このゴーグルをつければ「誰が佐藤さんなのかが一目瞭然（もの凄い優れ物だ）」（原文ママ）
その秘密は「ゴーグルに登録してある佐藤姓五百万人全てのデータ」（原文ママ）
これは凄いよ？！
だって、ありがちなSF設定みたいに全国民は生まれたときにチップを埋め込まれ～みたいな描写もないのに、何の変哲もない生きた人間と登録データを見た瞬間に照合できるんだから。（身長体重で比べるのか？）

そして、山田作品のもう一つの特徴は、もちろんその印象的な文章。
「この時の映像（引用者注：母＆妹と翼の涙の別れ）を翼は決して忘れる事はなかった」(p.11-l.13)
「優柔不断で何一つ政治も満足に出来ない王様であった」(p.12-l.6)
「沈黙が解き放たれ、皆それぞれの重圧が軽くなった」(p.19-l.4)
これが二十歳の書く文章…！（驚愕）
中学生以下に薦めない理由は理解いただけたかと思います。
中々理解しづらい文章多いからね。（棒
レビュー見る限り、そういう素晴らしい文章が全篇に渡ってあるらしいんですが、幻冬舎版だと相当変えられてるらしいんだよねぇ。
だから文芸社版探してたんですけど。
ね、文章書きさんにも薦めない理由、解るでしょう？
下手したら本当に文章書けなくなっちゃうよ。

でも、こんな楽しい小説もそうそうお目にかかれませんから。
勇気があったら読んで見てくださいｗ
まあ、設定は変わってない（はず）なので、幻冬舎文庫でもそれなりに楽しめるかもｗ